みわちゃんのこと、そして映画「海洋天堂」のこと

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私の通っていた小学校は
クラスの名前が
色で分けられていました。


赤組、白組、青組、そして緑組。

赤白青はいわゆる普通のクラス、
緑は発達障害の子供達を集めたクラスでした。
クラスは端っこにあり、
授業中にその教室から大声がして、
誰かが飛び出してくることもしばしば。
口の悪いクラスの子が
緑組の子を「ほっこ」と呼び、
声がするたびに「またほっこがさわぎよる」と笑うのです。
また彼らが体育の授業をしていると、
窓から指をさして馬鹿にしたようなことをいう子も。

ほっこは香川の方言で馬鹿という意味。

私はそんな光景を複雑な思いで見ていました。

私も京都からの転校生で、友達がいなかったからです。


学校には制服があったのですが、
転校初日に制服が間に合わなかった私は
水玉のワンピースを着て学校へ行きました。
そして関西弁で挨拶をすると、
特有のイントネーションを笑われ、
制服を着ていなかったことには
なんで?なんで?と、詰め寄られました。
今、思えば、みんなに悪気がなかったことは分かります。
でもあの当時はまだ子供でしたから、
自分が人と違うことに敏感で、
またそれがみんなに受け入れられなかったと
傷ついて小さくなっていたのです。
だから緑組の子供達を馬鹿にする子がいても
傍観者のように振舞うことしか出来ませんでした。

そんな緑組に「みわちゃん」と、いう女の子がいました。

みわちゃんは家も近所、ときどき見かける知った存在。

彼女はいつも一人でした。


一度「何しよん?」と、声をかけたら、
みわちゃんは笑って背中を向けました。
人の嫌がることを言ったり
やってはいけないと教えられていた私。
彼女が私に背中を向けたことを拒絶されたように感じ
声をかけたことは嫌なことだったのかもしれないと思い、
その日から声をかけることを辞めてしまいました。

ある日。

放課後の校庭で泣き声を聞きました。


砂場のほうでその声がしたので、
こわごわ近づいてみたら
泥団子を持った男の子達数人が
みわちゃんを取り囲んでいるのです。
彼女にそれを「食べろ!」と、迫っています。
彼女は顔を下にして、膝を抱えて、大声で泣いていました。
そして嫌がるその様子をみんなで笑っているのです。
彼女をいじめていることがはっきり分かりました。
そしてみわちゃんがうまく言葉を話せないことを
私はその時はじめて知ったのです。
う~う~と声をあげて拒絶をする彼女を
男の子達は笑って、また馬鹿にします。

助けてあげなくちゃ。

でもどうしたらいいのか戸惑い、
考えているうちに先生が飛んできました。
結局、私の力では助けてあげることができなかったのです。
あの時の恐怖に縮んだ彼女の顔を思い出し、
また何も出来なかった自分の無力さに落胆し、
家でそのことを母に話しました。
話しているうちに止めどもなく
涙が零れてきたことを覚えています。

そして母は言いました。

人に偉いも偉くないもないで。
みんな同じ「人間」やろ。
人が何をしよっても
あんたは今まで通り
人の嫌がることをしたり、
言ったりしないこと。
人と違うことは「個性」と、言うよ。
ぜんぜんおかしいことではない。
違うことが当たり前。
だから誰とでも
普通に付き合いなさい。

そして時々またみわちゃんに話しかけるようになりました。

友達になりたいと思って。


声を掛けると、
彼女は相変わらず
笑って俯いたり、
背中を向けるだけでしたが
それでもそれが
彼女との会話のような気がして
私は満足でした。

もしあの頃の私が発達障害の意味を知っていたら、
もっと出来ることがあったのでしょうか。


海洋天堂


みわちゃんのことを思い出させてくれたのは
「海洋天堂」
という映画でした。

自閉症の子供を持った
余命3箇月の父親。
その命を掛けて、
子供の為に
美しい未来を残そうと
過ごす最後の日々に
寄り添ったお話です。
発達障害の子供が抱える問題や偏見、
またそれを見守る回りの人達の心得、
かくも世の中は
残酷なものかと気付きもしますが、
この父子が見ているのは未来。
自分がいなくなっても
希望を失わずに
生きていけるように
大きな大きな愛を
淡々と子供に伝えていくのです。

監督は「北京バイオリン」の脚本を書いたシュエ・シャオルー。

発達障害児が通う施設で
14年間ボランティアをした経験を元に
この映画を作ったということで、
細部まで丁寧に描かれています。
これがドラマであることを忘れてしまうぐらい
心に深く静かに染み込んでくる演出。
またその言葉や空気を具現化している
クリストファー・ドイルの映像も美しい。
父役のジェット・リー、息子役のウェン・ジャンの演技は
言葉に例えることが下らなく思えるほどの出来。

ま~号泣なんてものじゃありませんでした(笑)

爆泣でも言いすぎじゃない感じ。


父の愛があまりにも優しく、
そして子が見せる
父への信頼があまりにも強く。

その全てが胸に響いてきて。

ここ数年で一番泣いた作品になりました。

自分自身の心のありかが見つかるはず。

そして知ることでまた出来る何かを見つけられるはず。




公開されたらもう一度私も見に行っちゃいます(笑)
Posted by315

Comments 2

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315@管理人  
わたしも逢いたいよ~(。→‿◕。)☆

祐子しゃん、こちらこそご無沙汰っ☆

映画「海洋天堂」は、
久々に、そして純粋に
『たくさんの人に見てもらいたい』と、
思った映画だったよ。
わたしの子供のころの思い出とリンクしたってことも
大きく心を揺さぶられた要因かもしれないけれど、
ただただ利害を求めぬ愛情の描かれ方は
きっとたくさんの人の心に響くと思う。

祐子しゃんもある意味、わたしのファミリーなんだぜ☆

最近はまた旅行に行きたくなっていて、
沢尻エリカが羨ましく思うほど、
スペインに遊びに行きたい欲求が高まってる!!

絶対どこかで逢おうぜ♡

2011/05/23 (Mon) 15:00 | EDIT | REPLY |   
Yuko  

ほんとにご無沙汰、姉御!
「海洋天堂」ちょ~観たい!いや、絶対観る!
映画の父子の愛情と共に、姉御しゃんの
お母たま&娘の沁み渡る愛情も感じる
ブログにじんわり涙なのです。
会いたいぜ~!

2011/05/23 (Mon) 02:59 | EDIT | REPLY |   

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