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今世紀最大の美しきモンスター

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ショーが終わって、オーディエンスが帰るそのとき、彼女は「さようなら」でも「バイバイ」でもなく少しいたずらな言葉を残した。確かに。思わず吹いてしまうほどの確信犯。

映像は嫉妬を覚えるぐらいに新しく、美しく、攻撃的で、彼女のショーをよりコンセプチュアルにする。半円形やサイコロのように転がるLED、形の違うLEDが全部で6面。昇降するミラーボールや空中に舞うロデオ、ジャングルジム、動く歩道のような花道。いろいろな意味で彼女クラスのアーティストでなければ存在しないステージだ。しかし驚いたのは、圧倒的に完成されたステージだけではなく、彼女自身のパワーだった。

ショーは2部構成のようになっていて、前半~中盤はメッセージ性の強い歌やテーマ、とりわけ世界平和と自国に対する憂いがメッセージとして込められているように感じた。後半はこれで踊らなきゃどうすんの?というぐらいのブレイクビーツなダンスチューン、興奮のきわみへと連れて行かれる。

オープニングはミラーボールから出てきて「future lovers」を。この時、距離5メートルほど。「近けぇ!!」テンションはいきなりマックス。一部の国で問題になった十字架に貼り付けられたまま歌う「Live to Tell」、「Like a Virgin」をロデオに乗って歌う彼女はもはやBOYTOYと呼ばれた頃の面影は無く、むしろ男性を萎えさせるほどの強い女性、パンク少女のようにギターをかき鳴らしまくる「I love NY」や各国の権力者や犯罪者たちの顔がフラッシュのように流れ、ブッシュの顔をいじり倒した映像を流したり、アラブ風の男性歌手と歌った「Isaac」「Paradise」は特に印象深い。「like it or not」だったか「I love NY」を歌った後、『F○○K』を連発、中指を立て、最後に『F○○K Nationalism!』と臆面も無く叫ぶ。彼女だからこそのパフォーマンス。可笑しかったのは「Ray of Light」でオーディエンスに「跳んで!跳んで!」と日本語で煽っていた場面。大阪ドームはそこここに「ジャンプ禁止」と書いてあるのに、だ。ま、しかしそのことを知っているにせよ知らないにせよ、絶対に彼女は「跳んで!」と言ったに違いない。客席に下りてくる場面もあったのだが、熱狂的な外国人の男性ファンが前列に混じっていて「あんた、また来てるの!」と大笑いをしながらF○○Kを彼にかましていたのもなかなか乙だった。アンコールはしない演出で、一番最後に「Hung Up」を歌いながら“Time goes slowry”と消えていった彼女はやっぱり私の憧れていたその人だった。

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さほど大きくはない体から、溢れるほどのパワーを放ち、言いたいことを言い、完璧を追求するその姿。そして恐れず、振り返らず、時には信じられないような母性に満ちた声で歌う。どんなにゴージャスなステージであっても、彼女の存在を更に大きく見せるだけの道具にしかすぎない。ただポップスターとしての彼女だけをイメージしてきた人は少し難しいショーだったかもしれない。だって私達の目の前に現れたのは何万人もの感性を呼び起こそうとするモンスター。期待通りのことはなにひとつ起こらない。予定調和の無い世界だったからだ。

その裏切りが私には心地よすぎるほどに痛快で、幸せだった。

1時間、ショーが遅れたのはご愛嬌。

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Posted by315

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