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10円小父さんの夜

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金曜日。

過去このブログに一度登場した元上司、後輩、相方。
彼らとお寿司へ行くことになった。
その店は通りから外れ、ひっそりと佇まう隠れ家的な風情。
私は何度か行っているものの
後輩ちゃんは初めてだったので待ち合わせをすることにした。
駅前で待ち合わせ、タクシーに乗り込む。

はい、どこへ行きましょう?

きっぷよく、且舌よく、豪快な話しぶりと接客。
チャキチャキの江戸っ子か。
タクシーの運転手には個性的な人が多いが、
今日はまたより一層濃い。
私にどこの出身かと聞いたりするものの、
答えはあんまり関係ないようで、
自分のペースで話を進める小父さん。
年齢を聞かれたので、正直に言うと、
え?!?と素晴らしいリアクションで驚き、
あと10歳は若く見えるねぃとベタに褒め殺す小父さん。
私と後輩ちゃんはこの小父さんとの会話を堪能していた。
目的地も近くなってきた頃、
おねぇちゃん達はいい子だから、と
ピカピカの10円を差し出した。
私達にくれると言う。
なんでも今年の10円で、
造幣局で作られたばかりのものを
銀行でたくさん両替してきたのだそうだ。
お金はたくさんの人を回って、
自分のところに来るからいろんな過去を背負っているけれど、
新しいお金はまだ汚れていなくて、自分が歴史を作れる、と。
そしてこの10円に自分の願をかけて
使いたいときに使ってほしいと言うのだ。
私は神がかり的なことをそう信じる方じゃないから
この10円に何かを願うことはしないと思う。
でも優しい気持ちが籠ってるこの10円を見るたびに
優しい気持ちになれそうな気がする。

ありがとう、小父さん。

そう心からお礼を言い、有り難くその10円を頂戴した。

もちろんその夜が楽しかったことは間違いない。

日本酒を呑んでいたら、
私の酒癖を軽く心配した板さんが
低体温症になるかと思うほどの冷たいお水を出してくれ、
お酒と交互に飲んでいたら、
暖房のきいた店内にいるのに、本気で寒くなってきて
ね、寝たら死ぬ…と言う状態になったけれど、
それでも楽しかった。
お陰様で、次の日はまったく酔っておらず
快適な目覚めで板さんにも感謝。

今日も東京のどこかで幸せを運んでいるであろう小父さん。

大事にするからね。



           小 父 さ ん の く れ た 1 0 円

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